先進医療特約(先進医療保険)は微妙

先進医療特約(先進医療保険)は微妙

医療保険に先進医療特約を付けている方、もしくはこれから付けようとしている方、先進医療保険に単体で加入もしくは加入しようとしている方。

なぜ先進医療特約(または先進医療保険)に加入したorしたいか説明できますか?

この質問に答えられない、もしくは、

「高度な医療に関しても保障があった方がよさそう….。」

など、ぼんやりとした説明をしてしまう方は要注意です!

早い話が、先進医療特約は保険の本質的な機能は果たしているものの、積極的におすすめできる商品ではありません

この記事ではその理由をお伝えしたいと思います。

先進医療特約(先進医療保険)とは

そもそも、先進医療とは何を指すのでしょうか?

生命保険で用いられる「先進医療」の定義は以下です。

……「先進医療」とは、保険適用の対象となっていないものの、保険適用できるかを評価するため、厚生労働省が保険診療との併用を限定的に認めた医療行為を指す。

岩瀬大輔(2012),「がん保険のカラクリ」,文春新書,p63

「先進医療」は保険適用外のため、自己負担額がかなり高額です(後述します)。

ですから、この金額を自分で用意しようとすると大変です。

そこで先進医療特約(または先進医療保険)に加入していれば、先進医療を受けた際に、数百万円~2000万円程度の給付金が受け取れるというわけです。

多くの場合、医療保険の特約として加入しますが、先進医療のみを保障対象とする保険も存在します。

先進医療の種類

では、実際に先進医療と呼ばれる治療法にはどのようなものがあるのか?

先進医療は数多くありますが、実際に利用されている治療法は以下の4つで全体の91%を占めています。

・重粒子線治療
平均費用 : 314万9000円

・陽子線治療
平均費用:276万5000円

・多焦点眼内レンズ
平均費用:58万1000円

・前眼部三次元画像解析
平均費用:3500円

この割合は今後新たな先進医療が登場したり、上記の治療法が保険適用になった場合、大きく変わるでしょう。

積極的におすすめできない理由

先進医療特約は保険料も高額ではなく、万が一先進医療を使用する際には1000万円単位のお金がもらえ、一見良さそうに見えます。

しかし、実はあまりおすすめはできません。

理由は以下です。

・先進医療を受けられる場所が限られている
・先進医療を利用する確率が低すぎる

先進医療を受けられる場所が限られている

一つ目の理由は、先進医療を受けられる場所が限られていることです。

厚生労働省のホームページを見ると、先進医療を実施している医療機関が載っています。(「先進医療を実施している医療機関」
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html

例えば、重粒子線治療を行っている施設は日本に6か所しかありません。

そのほかの先進医療も治療を受けられる場所がかなり限定されています。

ですから、近所にそのような施設がない場合は、先進医療を受けること自体が難しく、保険の恩恵を受けられない可能性があります

先進医療を利用する確率が低すぎる

もう一つの理由は、先進医療を利用する確率が低すぎることです。

例えば、粒子線治療はがんと診断された方の0.3%しか先進医療を利用していません。

しかも、先進医療は患者自身が治療を希望しなければ、利用することはありません。

ですから、そもそも先進医療を使う可能性は低く、いざ病気になった際でも利用するかどうかはあなた次第なのです。

まとめ

先進医療保障は小さな掛金で大きなお金を用意する、という点において保険の本質的な機能は果たしています。

しかし、先進医療はがんと診断された人の内、約0.3%の人しか受けていません。

さらに、先進医療を行える医療機関は限られているため、近所にそのような施設がなければ先進医療を受けるのは難易度が高く、保険を活用できないかもしれません。

ですから、もし先進医療特約を付ける(先進医療保険に加入する)場合は、以上のことに納得したうえで加入しましょう。

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